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短編小説『愛の夢とか』

川上未映子の短編小説をゆっくり読み返した。時間がかかったけど全部読み切ることができた。

それぞれ、とても面白かった。失恋の話、同性同士のかかわりの話、喪失の話、死んでから再会する話、など簡単なハッピーエンドでいかない短編が続いていた。単純な感想かもしれないけど、人とのかかわりをこんな生々しく、共感しやすく描けるなんて、本当にすごいと感じる。

今の私にはそれぞれを細かく描写して論じる力はないのだけど、読んでいると惹き込まれて、その登場人物になったような気分がするから不思議だ。すれ違いの描写などは、たしかにな、と思うことも多く、そう言えば私もはじめから何もはじまっていなかったのかもしれないとか思った。今でも悪夢でうなされる同棲していた元カレからは、付き合いたては「見つけた」とか言われていたものだったけど、別れ際はかなり冷たく「合わないところがあった」と言い放たれた。そういうことを思い出した。

なぜ私が川上未映子の作品を読むかというと、やはり心情を共体験したいからなのかなと思う。そんなに沢山の小説を読んでいないけど、川上未映子は、愛用していた下着のウンナナクールの「女の子、登場」の文章を読んだ時からその凛とした感じがずっと好きで、上越に帰ってきてからこの短編集も『夏物語』も読んだ。

どんな作品でもそうとは言い切れないと思うけど、読むと心が洗われるような気がする。だから意味はともかく文字を目で追って、たまに気になる表現を意識して、読み進めていった。自分なりに、深く読めた気がしている。別れにもたしかな価値がある、それをこの短編集は教えてくれた気がした。読んだことで私の別れにも意味を与えられたかもしれない。

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