統合失調症を再発してから一年半年ほど経った。この病気は心の病気と言われるが私はずっと心より脳の問題だと思っていた。なぜなら病気により頭が全く働かなくなってしまったからだ。簡単に言うと馬鹿になってしまったからだ。でもこの身体の反応を心の問題と考えることもできるのか、と今日、若松英輔の『本を読めなくなった人のための読書論』を読んでいて思った。私は正気に戻ってからずっと、自分の心を置き去りにして、周りのことばかり気にしてしまっていたのではないかと。私は怯えて顔色をうかがっていた。
確かに私は病気で多くの人に攻撃をしかけ、迷惑をかけた。だけどそれらの行動にも何か、自分の心の中に原因があったのではないかと今は感じている。もしかしたら、自分の心としっかり向き合うことをしない限り、この病気はよくならないのかもしれない。私はこの病気になってから寂しがりやになった。人が怖くなった。痛みに敏感になった。集中力がなくなったので、やることがなくなってLINEでのコミュニケーションに依存するようになった。私は空っぽになった。ただ生きているだけの人間になった。それでも何かしらの感覚を感じることはできる。その感覚をまずは大切にしてみたい。
もう病前の自分には戻れない。もう昔の人間関係もない。頭も回っていない。体重は太った。身なりは気にしなくなってしまった。だけど一日に一篇の詩を読むことくらいはできる。たとえ意味がわからなくとも。また何かしらの文章を生産することはできる。過去の自分を愛することもできる。自分の心や感覚と向き合うこともできる。人による暴力が嫌だと感じることもできる。このように私はいまだ心を持っている。
自分の心と人の心を何より大切にしていきたいと感じる。倦怠感が溢れる陰性症状と闘いながら、少しでも自分の心の琴線に触れるものはないかと、日常の光を探し求めている。
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